自動車のセンサ：多段式ラインCCDセンサを用いた後側方車両の検知技術

摘要

交通事故件数と負傷者数は年々増加傾向にあり，年間交通事故死者数は依然9 000人強で推移している．このような状況下において，マツダでは旧運輸省（現国土交通省）が推進する先進安全自動車(ASV: Advanced Safety Vehicle)推進検討会に積極的に参画して研究開発を進め，「後側方·側方情報提供装置」や「被追突予知むちうち傷害低減装置」などを開発している（図1）．前者は，接近する後側方車両の位置を常に運転者に表示することによって車線変更時の視認負担を低減し，さらに運転者が後側方車両に気づかないまま車線変更する際には警報により注意を喚起して事故を未然に防止する．一方．後者は，後続車両の接近状況から後突の危険を事前に察知し，警報やシートベルトを自動的に引き込んで運転者のむちうち傷害を低減する．これらのシステム実現には，警報タイミングなどの設定や運転者とのインタフェースの構築に加えて，自車両周辺に存在する車両などの障害物の的確な検知が不可欠である．特に，カーブや上り下りのある道路で路側構造物や路面上の白線など，運転者への情報提供や警報の対象ではない物体を誤って車両として検知することが大きな問題である．