食品中残留農薬の一斉分析法の確立に関する研究

摘要

演者らは昭和60年頃から残留農薬の分析にかかわり，それまで個別分析が主体であったのをGCやHPLCを用いて系統別グループ分析する方法へ変更する検討を始めた．その後，ポストハーベスト農薬問題の発生や基準値設定農薬数が急増したので，各種の混在する農薬をできるだけ同時に抽出して試験溶液を作製し，測定機器の方で分離定量する方向にしたいと考え，多成分一斉分析法の開発に取り組んだ．この間，各種測定機器も大きく進歩発展したので，超臨界流体抽出（SFE），ゲル浸透クロマトグラフィー（GPC），各種固相抽出ミニカラム，セミミクロカラムHPLC，GC／MS，LC／MSなども試験法に取り入れて，不特定多数の農薬を対象とするスクリーニング試験法の開発を目指した．以下に示すれらの検討した方法は，今後残留農薬基準へポジティブリスト制が導入された場合に，効率的な分析手法を導入するための有益な資料になると考えられる．