網膜視細胞モザイクのリアリスティックモデル

摘要

網膜上で錐体視細胞と桿体視細胞は光情報を電気信号へ変換する役割を担っており，各視細胞は特徴的な空間的配列を形成している．錐体は網膜の中心部（中心窩）に集中しており，中心窩から遠ざかる程，錐体密度は低く，直径は大きくなるという特徴をもつ．一方，桿体は中心窩には存在せず，中心窩周辺部に最も多く存在し，直径は網膜全域においてはぼ変化しない．本研究では，視細胞の配列が視覚情報処理に及ぼす影響を定量的に解析するために，分布密度や視細胞サイズなどの解剖学的特性を忠実に再現した視細胞モザイクの自動生成手法を開発し，錐体のスペクトル感度や光応答などの生理学的特性を導入した光応答モデルと組み合わせることによって，網膜視細胞モザイクの数理モデルを構築した．