核磁気共鳴（nuclear magnetic resonance，NMR）法は，1946年，BoIch及びPurcellが，それぞれ水及びパラフィンの水素核のNMRスペクトルを最初に検出して以東 有機化合物の主な構成元素である水素（~1H）及び炭素（~（13）C）の化学的環境を観測できることから，構造決定の有力な手段として発展してきた．また，1966年には，Ernstら3）によるフーリエ変換の導入により飛躍的な進歩をとげた．更に，NMR分光計専用のコンピュータの開発，超電導磁石の実用化により，高磁場で，均一な磁場を得ることができるようになると，感度並びに分解能は一段と向上した．現在では，多次元NMRなどの測定技術の大きな進歩により，有機化合物の立体配置，立休配座，立体規則性の決定など，天然物化学のみならず，有機合成分野でも繁用されている．また，タンパク質の立体構造解析など，医学，生化学の分野における発展も著しい．このように，NMRは，基礎技術の進歩とともに，様々な分野で不可欠な分析機器になってきた．ここでほ，簡単なNMRの概要と食品への応用例について述べる．
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