小型トラック用MTの自動化：オートシフトの解説

摘要

従来，小型トラックの駆動系では手動変速機がほとんど使われてきた．手動変速機は，構造が単純であることから，製造コストが安くでき，効率の良さから燃費も良く，信頼性も高いという長所がある．しかし，ギヤシフトヤクラッチ操作を手動で行う必要があると同時に，クラッチは運転すると摩耗していくため，交換しなければならないという問題もある．一方，乗用車で一般的な自動変速機は，ギヤシフトやクラッチ操作が自動であり，クラッチ交換も必要ないという長所があるにもかかわらず，商業車ではあまり普及していない．それは，機械効率が低いため燃費が悪く，製造コストも高いため，使用者の経済的負担が大幅に増えてしまうためである．これらの問題を解決するため，2002年より「スムーサーE及びF」を開発し，発売している．このシステムは，手動変速機をベースに，乾式クラッチの代わりにフルードカップリングと湿式多板クラッチを採用したものである．クラッチ操作が自動で交換の必要もなく，燃費も手動変速機と同等で製造コストに関しても自動変速機に比べ大幅に安価である．この「スムーサーE」の機構をそのままに，変速を自動化したものが「スムーサーEオートシフト」である．2004年よりいすゞ自動車のELFシリーズに搭載し，発売を開始した．この「スムーサーEオートシフト」の構造と特徴について解説する．