高温超電導体を用いたマイクロストリップラインフィルタ応用

摘要

近年の通信システムは高速大容量の方式へと進んでおり，限りある周波数資源の有効利用のためにガードバンドの削減やシステム間干渉の低減が必要となり，それを可能とする急しゅんなフィルタへの期待が高まっている．一般的に低損失の材料として知られている銅と比較して2けたから3けた以上の低損失特性をもつ酸化物高温超電導体をフィルタに応用することで，従来では実現できなかった急しゅんなフィルタが実現可能となってきた．本論文では超電導体を用いた2種類のフィルタに関して報告する．一つは高い周波数帯で低損失な特性を生かすための放射抑圧構造をもつ多波長型共振器を用いた7 GHz帯8段擬似楕円関数型超電導フィルタであり，比帯域0.3％の狭帯域フィルタでも放射電力を抑圧することで対称性が優れた急しゅんで理想的なフィルタ特性を実現できることを示した．またもう一つは，幅広の線路幅をもつ直線状共振器を用いたチェビシェフ特性4段フォワードカップル型送信用超電導フィルタを開発し，耐電力性が35.6 W，IP3が67.4 dBmの特性を実現した．