環境対応型ディーゼルエンジンの将来像

摘要

石原都知事のパフォーマンスによってディーゼルエンジンは環境悪化の犯人にされてしまった．黒煙は視覚的にも不快感を与えることが多かったが，最新のディーゼルエンジンは黒煙を排出しなくなった．ディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)が実用化できたことによるが，そのための技術開発には長い時間を要した．NO{sub}x触媒についても長い研究開発の歴史の中からやっとNO{sub}x還元触媒（尿素SCR）が実用化された．一方，ディーゼルエンジンは熱効率が高く，CO{sub}2の排出も少ないことから，欧州ではディーゼル乗用車の比率が増大している．燃料経済性が重視される商用車では今後ともディーゼルエンジンが主流になる．これに応えるためには，都市環境，地球環境に対する負荷を低減するとともにエネルギーセキュリティに対しても柔軟に対応できることが要求され，これまでの燃焼改善，排気後処理，燃料改質に加え，ハイブリッド化，石油代替燃料の受容性など多くの技術開発が必要になる．本稿では環境対応型ディーゼルエンジンの将来像について展望してみたい．