近年,音響信号の畳み込み処理技術が発展した結果,波面合成方式(WFS:Wave Field Synthesis(デルフト工科大学が開発))の考え方に基づく仮想的な空間音響により,これまでのステレオ音響の持つ原理的な欠点を克服する新しいシステムが可能となりつつある.このシステムは,響きのない音源信号に,測定もしくはモデリングにより得られた部屋の音響情報や音源の位置情報を組合せ,ホイヘンスの原理に基づくスピーカアレイにより,聴取者の周囲に音場を合成し,正確な音の再生を可能にする.WFSには基本的かつ現実的な制約があり,音場合成の特色や技術的なパラメータに応じて,知覚される空間音響の品質がある程度影響を受けることは確かである.
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