強誘電性液晶を用いた反射型偏光制御素子の設計

摘要

光通信ネットワーク用の光スイッチとして筆者らが先に提案した平板型の偏光制御型光スイッチでは，入射光が裏面で全反射して入射と同じ側に出射し，なおかっ印加電圧により光波の偏光方向を正確に90°スイッチできる反射型の液晶偏光制御素子（PCD）が必要となる．筆者らは先に素子表面に対して光が斜めに任意の角度で入射して裏面に透過する斜め入射型の強誘電性液晶偏光制御素子（FLC-PCD）にっいて偏光方向を正確に90°スイッチするための設計理論を導き，報告した．本論文ではこの理論をもとに，入射光が素子裏面で全反射して入射と同じ側に出射するような反射型FLC-PCDについて，偏光制御特性をジョーンズマトリックスにより理論解析し，出射光の偏光方向を正確に90°変化させる条件を求め，これをもとに素子の液晶層厚，液晶光軸角等の最適設計値を求める方法を示す．また，試作した素子の偏光制御特性を実測し，本設計法の妥当性を示す．