連載38 食品技術者のための食の安全基礎知識: 6．食品回収事例研究（4）微生物と化学物質の混入

摘要

飲食物への微生物と化学物質の混入は，すべての喫食者に対して健康被害を及ぼすおそれがある。その意味で，この原因の食品事故は，最も危害が大きいといえる。なお，これらの事故は，食品衛生法第六条の第一項の腐敗，変敗，未熟なもの，第二項の有害，有毒物質の混入，第三項の病原性微生物汚染に該当する。（一財）食品産業センターが公開している食品事故情報告知ネット（以下回収告知と略記）では，これらの事故理由を「微生物および化学物質の混入（微生物の増殖を含む）」に分類している。この分類の下位には，「食中毒事故原因の微生物，化学物質（以下，食中毒原因）」と「カビ，酵母等の微生物（以下，カビ酵母等）」の小分類がある。