人と車と安全：乗用車の被害軽減を目標としたトラックFUPの開発動向

摘要

大型トラック（以下トラックという）と乗用車の正面衝突事故では，トラックの前面下部に乗用車が潜り込むことで乗用車側乗員に大きな被害をもたらす場合がある．欧州ではこのような事故による乗用車乗員の被害を軽減させるものとして，1980年頃からトラック側に装着するFUP（フロントアンダランプロテクタ）に関する研究が始められた．その後法規化に向けての本格的な検討が進められ，1994年，ECE-R93の制定により大·中型トラックにFUPの装着が義務づけられた（EC指令により施行は2003年8月10日から）．このような中で，死亡事故の低減を目的に，現在国内ではFUPの法規化について検討作業が進められている．FUPは衝突の際に乗用車のサイドメンバまたはフレームとラップする高さに配置し，相手乗用車を受け止め，トラック下部への潜り込みを防止する（図1）．本稿ではトラックにFUPを装着した場合の効果と課題，技術動向について紹介する．