モデル化技術を用いたセンサの高応答化

摘要

2015年12月にパリ協定が採択され，2020年10月には菅義偉内閣総理大臣により「脱炭素社会の実現を目指す」ことが宣言されるなど，二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの排出削減要求は今後いっそう厳しくなっていくと予想される．そのためガソリンエンジンをはじめ内燃機関に対して熱効率のさらなる向上が期待される．ガソリンエンジンではシリンダに充填される空気量の推定および推定量に応じた制御を行っており，制御の高精度化が熱効率の改善に寄与すると考えられる．この制御高精度化の手段にはセンサの高応答化が含まれるものの，製造コストおよび耐久性などの制約によりハードウェアの変更がきかない場合がある．そのため本稿ではセンサの変更ではなく，計測値に対する信号処理でセンサを高応答化する手法について解説する．