建設機械用油圧作動油の規格化の動向

摘要

近年の気候変動による自然災害の激甚化·頻発化などから，地球温暖化対策は喫緊の課題となっている．2050年カーボンニュートラルは，今や世界の潮流となっており，我が国としても，2050年にはカーボンニュートラル，2030年にはCO_2排出を2011年度比で46削減という新たな目標を国際公約として掲げている．これを受けて建設施工や建設機械を所管する国土交通省では，2021年12月に「国土交通省環境行動計画」を改定し，その中で建設機械の脱炭素化の推進を一つの施策として掲げ，電動化など動力源を抜本的に見直した革新的建設機械の導入拡大に加えて，燃費性能の優れた建設機械の普及促進を謳っている．日本の産業別CO_2排出量のうち，建設施工分野は1.4 （約1,100万t）を占めると言われており，比較的少ないとはいえ，各種技術によってCO_2排出量を削減することが求められている．本稿では，建設機械のCO_2排出量を油圧システムの効率向上により削減する点に着目し，（一社）日本建設機械施工協会（JCMA）の機械部会·油脂技術委員会で検討を進めている建設機械用高粘度指数油圧作動油の規格化の動向につき紹介する．