掌の小節 第四節

摘要

まったくもって異例としか言いようがないことが続いている．些細な身近なことにでも，である．今年，我が家の初詣は2月11日建国記念日となった．30年以上，深川に詣でるのを年のはじめとしてきたが，護摩札や破魔矢をいただくのも密を避けた自粛の結果となった．とは言っても，流石に2月になるまで，こんな呑気な家族はいないたろうと思っていたが，遅れた初詣をする老若男女が結構いた．参道には露店も結構出ており，流行りの距離間隔を保っていた．その中で，徳島から藍染め品を扱う店が出ていた．見るとご朱印帳も並んでおり，ウサギ，月などの模様がある中から龍を選ぶと，多分，70歳中頃の店主が龍の爪にまつわる縁起を，「お兄さん，聞いていきなよ」と言う．こちらの同意を得るまでもなく，釣銭を用意しながら勝手に話し始めた彼に，お兄さん！と言われたこともあって付き合うことにした．