それ、未病じゃないですか？睡眠の改善で糖尿病と合併症をブロック

摘要

現代ではシフト勤務などによる夜間活動や、スマートフォンやSNSの普及に伴う睡眠障害が増加しています。日本人は世界中で最も睡眠時間が短く、人口の約20~30％が何らかの不眠症状を有しており、生活習慣病の患者の約40％に睡眠障害を伴うことが知られています。また、睡眠障害は、全身の代謝に影響して2型糖尿病(第3回参照)の発症リスクを増大させます。不眠状態になると、食欲を上げる作用のあるオレキシンやグレリンの分泌が増進し、食欲を抑えるレブチンの分泌が低下し、食欲が高まります。また、覚醒時間も増えるので摂食時間が長 くなり、エネルギー摂取量が増 大して肥満しやすくなります。さらに睡眠が不足すると、交感神経が活性化し、体内の組織での慢性的な炎症が起きて血糖を上昇させるコルチゾールや成長ホルモンの分泌が高まり、インスリン抵抗性が引き起こされます。肥満やィンスリン抵抗性は、2型糖尿病の病因であり、重要な未病状態です。