日米欧EV用インバータ技術の現在地とEV用次世代パワー半導体応用技術予測

摘要

2022年5月2日にIONIQ 5は現代自動車が自社名を「ヒョンデ」と呼称を変更してまでも，消費者の目の厳しい日本市場へその価値を問うように，日本で販売開始となった．そこから3カ月を待たない同年7月21日，中国のBYDが3車種の電気自動車（以後，EVと記載）の日本市場投入を発表した．三つのモデルは，BセグメントのDOLPHIN（中国ではATTO2の名称で販売），CセグメントのATTO3, DセグメントのSEALであり，それらの包括するセグメントから考えると，前述の1車種のみのIONIQ 5投入と異なり，BYDはプラグインハイブリッド車（PHEV）とEVの販売台数が世界一を誇る電動車メーカの雄として，完全に日本市場の大きな“マス”を取りにきていると考えられる．特にDOLPHINとATTO 3は，戦略的な価格で一般的に高価といわれるEVの印象を覆すと予測されている．すなわち，時価総額としてもトヨタの後を追う世界3位のBYDは，これから立ち上がってくるわが国のEV市場を根こそぎ奪っていく可能性も秘めている．