低GWP冷媒の動向

摘要

フルオロカーボンは，化学的安定性，低毒性，不燃性等の優れた特性を有し，冷凍空調用冷媒のみならず，半導体や精密部品等の洗浄剤，断熱材用発泡剤，噴射剤や消火剤等の様々な用途で活用され，我々の快適な生活を支えている．フルオロカーボンの中でも難分解性のクロロフルオロカーボン（CFC）やハイドロクロロフルオロカーボン（HCFC）は，対流圏でほとんど分解されないまま成層圈に達し，オゾン層破壊の問題を引き起こした．その代替媒体として開発された塩素を含まないハイドロフルオロカーボン（HFC）は，地球温暖化係数（GWP）が高く，2016年に開催された「オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書」締約国会合において，その生産量·消費量の段階的削減義務が課されることとなった（キガリ改正）．我が国においては，議定書の国内担保法である「特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律（オゾン層保護法）」の改正が実施され，2019年1月1日からHFCの生産量·消費量の段階的削減が開始された．