ある木曜日の早朝,割り当てられる仕事のない私は支度をして,東名高速と小田原厚木道路を経て国道135号線を行った.その後,出産に二度,子育ての場面に一度立ち会った.海中での話である.出産中だったのはナマコとウミウシ,子育て中だったのはクマノミである.7~8月は海中生物にとって出産と育児の季節でもある.水中カメラで動画を撮りながら,ふと,SDGs: Sustainable Development Goalsの目標の一つである「14(海の豊かさを守ろう)のお魚マーク」が頭に浮かんだ.余談だが,黒潮に乗って春に日本近海にやってきたものの,冬の寒さに耐えきれず姿を消してしまうものを「季節回遊魚(以前は死減回遊魚)」と呼ぶ.クマノミも元々はそうであったが,今では越冬して伊豆に定着している.この日も2尾が交代でヒレを使って,岩に産み付けた卵に新鮮な海水を送っていた(図6-1).
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