ビル用マルチ空調システム「スーパーマルチuシリーズ」

摘要

ビルの省エネ性や快適性が求められる中，複数の部屋を効率良くかつきめ細かく空調でき，空調設計·施工が容易なビル用マルチ空調システムの需要は，グローバルで堅調に拡大している．ビル用マルチ空調システムは，図1に示すように，屋上等に設置され，圧縮機が搭載される複数の室外ユニットと，各部屋に設けられる多数の室内ユニットを冷媒配管で接続する構成で，総配管長が極めて長いため，圧縮機から冷媒とともに吐出された潤滑油が戻りにくぐ圧縮機内の油面低下により，摺動部への潤滑油の供給が不十分になりやすい．また長配管に応じた多量の冷媒を必要とし，運転状態も多様であるため，冷媒の偏在により潤滑油が過度に希釈されることがあり，粘度低下等による摺動環境の悪化リスクも高い.これらのリスクを防ぐためには，圧縮機を大能力化して数を減らし，室外ユニットあたり一つの圧縮機で構成することと，個別の圧縮機における潤滑油の油面や希釈度合いをモニターし，常に良好な状態を保つようにフィードバックすることが有効である．ここでは，ビル用マルチ空調システムの信頼性を左右するトライボロジー技術として，圧縮機の大能力化に関する技術と，圧縮機内の潤滑油モニター制御システムについて紹介する．