ドクササコに含有される有毒成分の精製および 多成分同時分析法に関する研究

摘要

ドクササコ(Paralepistopsis acromelalga)は，キシメ ジ科カヤタケ属に分類される有毒キノコで，9-10月ごろ 竹やぶ，笹やぶ中に発生する.傘表面は淡橙黄色-茶褐色 を呈し，中心がくぼんだじょうご型をしている义これら の外見的特徴から，ハツ夕ケ類やホテイシメジなどの可食 キノコと誤認され，たびたび食中毒を引き起こす.主な中 毒症状は喫食後数日してから突然発症する四肢末端の発 赤，腫脹および疼痛で，数力月にわたり続く場合もあ る.従来，硬膜外ブ口ックやニコチン酸の大量点滴静 注といった治療が有効とされていたが，それらの効果は個 人差が大きく，即効性のあるものではなかった气近年， 關らは血液吸着療法(direct hemoperfusion; DHP)が， 他の報告に比べ症状の改善が顕著であることを見出し，病 悩期間の短縮に寄与したと結論付けている以上のこと から，ドクササコ中毒発生時には迅速な確定診断を行い，適切な治療をいち早く開始することが非常に重要であり, 患者の苦痛軽減に直結すると考える.