翼型熱交換器の伝熱性能に及ぼす主流全温の周期変化の影響

摘要

本研究では，ターボファンエンジンの既存コンポーネントを翼型熱交換器として利用する際に，動静翼干渉による伴流が伝熱に与える影響を単純化して明らかにするため，流れ場が均一で空気の入口全温のみが周期変動する場合について，実験によって検証された熱流体解析を用いて減速翼列を構築する翼熱交換器を介した熱伝達を数値的に調べた。空気の入口全温の変動周波数がある特定の値（本供試体では5,000 Hz）のとき，翼型熱交換器の外表面を通過する時間一空間平均熱流束は定常状態のそれより10%程度高い値となった。翼型熱交換器の翼弦中心点での高温の主流空気の全温と翼型熱交換器を冷却する低温の熱輸送媒体の温度の差の周期的な時間変化に対して，熱容量に起因する翼型熱交換器の固体温度の応答遅れが生じ，その結果，時間一空間平均熱流束は増大した。全温の変動波長と翼弦を同程度とすることで，全温が一定である条件下よりも大きな時間一空間平均熱流束を示す翼型熱交換器が実現できることを示せた。