予備酸化処理による高温酸化物の成長抑制と遮熱コーティングの長寿命化

摘要

産業用ガスタービン分野においては，近年より一層の効率向上が求められており，タービン入り口ガス温度（Turbine Inlet Temperature, TIT）の高温化が進められている。また，高温の燃焼ガスから保護するため，タービンの動静翼には遮熱コーティング（Thermal Barrier Coatings, TBC）が施工されている。しかしながら，TBCはしばしば運用中に損傷を生じることから，健全性及び耐久性の向上（長寿命化）が求められている。TBCの損傷形態には様々なものがあるが，トップコートの剥離が特に問題となる。トップコートの剥離要因の1つとして，ボンドコートの高温酸化によってトップコートとの界面に形成される熱成長酸化物（Thermally Grown Oxide, TGO）の影響が一般に認知されている。したがって，TGOの成長を抑制することができれば，TBCの長寿命化につながると考えられる。