人と車と安全：運転者教育における運転適性検査の役割と今後の課題

摘要

本稿では，警察などが実施する運転者再教育の講習で使われている運転適性検査について整理するとともに，それらの検査が測定しようとする人間の特性と，講習の目的との対応関係について考察した．現在行われている各種講習では，運転適性検査の開発当初の目的であった事故傾性の弁別は，実質的には検査実施の目的とはなっていない．そうであるならば，①受講者は，具体的にどういった問題を抱えているか，②講習の指導目標は何か，③その目標を達成するためには，どのようなツールが最適か，④指導目標が達成されていることを確認する手立ては確保されているか（たとえば，事故·違反の再発予防が目標であるならば，再犯率を確認できるようにしておく必要がある）といった点を，改めて整理し直す必要がある．運転者再教育の対象者は，時代とともに変化する．新たな講習が導入されれば，その受講者層に合った指導ツールが求められる．運転適性検査にも，そういった変化に応じた扱われ方が求められる．