電動航空機で期待されるエンジン埋め込み·境界層吸い込み効果

摘要

将来旅客機における大幅な燃費性能向上を目指した研究開発が活発になされている。燃料消費を低減し環境適合性を高める新しいコンセプトとして，多数の推進ファンを搭載したコア分離型の電動推進が提案されている（Fig.1）。同コンセプトでは，電動ファンを用いるため，従来のターボファンエンジンと比較し，サイズ·個数·配置などの制約が極めて少なく,推進システム全体の設計自由度を高めることが可能とされている。上記コンセプトでは，翼胴一体型の航空機BWB（Blended Wing Body）がシステムの基本として挙げられ（Fig.1），以下のメリットを包含する形となる。まず，BWBは翼胴分離の場合と比較し，形状抗力が減少する。次に，推進ファンは，境界層吸い込み（Boundary Layer Ingestion，以下BLI）効果を積極的に利用できるよう胴体後方上面に設置される。本搭載方式により，胴体上で発達した境界層がファン入口に流入することから，平均流速が減少し，推進効率の改善に繫がる。これらに加え，ナセルの重量や抗カも減少することから，結果として燃費が向上する。さらに，騒音低減効果も得られるため，環境適合性の面で総合的な改善が期待される。