負荷調整用地上型圧縮空気エネルギー貯蔵（CAES）を備えたガスタービンシステムの基礎検討

摘要

近年，CO_2を排出しない，燃料を消費しないなどの点から，再去可能エネルギーの導入が進められている。再生可能エネルギーとは，太陽光，風力，地熱など化石資源によらず自然界に常に存在するエネルギーを指し，日本においても導入は増加傾向にある。しかしながら太陽光や風力等の変動電源は，出力が天候に依存するため電力需要に合わせた調整が困難である。また大量導入時には，電力供給の安定化のため，電力系統から余剰電力を吸収しなければならないという課題がある。電力供給と余剰電力吸収を行える負荷調整用電源として揚水発電がある。これは，余剰電力を利用して水を汲み上げ，電力需要の大きい時間帯に，汲みあげた水を放水し発電するシステムであり，電気エネルギーを位置エネルギーに変換して貯留することが可能である。しかし，現在の日本では揚水発電施設の増設は困難である。一方，揚水発電と同様の概念で，余剰電力を利用して圧縮空気の形でエネルギーを保存し，電力需要時に貯留した圧縮空気を放出してガスタービンで発電するシステムとしてCAES（Compressed Air Energy Storage）がある。