予兆·診断システムによるスマート設備管理の視点と導入事例

摘要

近年，「DX（Digital Transformation）」というキーワードを見聞きしない日がない時代となった。今後日本では，設備老朽化や人口減少による人手不足を背景に，最新テクロノジー（AI，IoT，5G，デジタルツイン，AR/VR等）を取り入れる企業とそうでない企業の差は明確に分かれることが考えられる。また，それらテクノロジーを背景としたディスラプタ（破壊的イノベータ）の登場も既存企業にとって脅威となってくる。さらに，「2025年の壁」という問題もある。経済産業省が2018年9月に発表したDXレポートによれば，2025年までに予想されるIT人材の引退やサポート終了などによって，複雑化·老朽化·ブラックボックス化した既存システムが残った場合，国際競争での遅れや経済の停滞などによって年間最大12兆円の経済損失が生じる可能性があるとするものである。新しい時代を担うIT人材が枯渇していることに加え，技術そのものが根本的に変わってしまっているため，新たな技術による脅威への対応が難しくなってきていることも課題である。