テラヘルツ波小型発生器の開発

摘要

近年，遠赤外線あるいはサブミリ波の領域におけるコヒーレント電磁波の新しい発生·検出方式の研究が急速に進展しつつあり，それにともなってテラヘルツ波（以下THz波と略記する）という言葉がよく耳にされるようになってきた．THz波の定義は人により多少異なるが，およそ周波数が0.3THz～10THzの領域，波長に換算すると1000μm～30μmの領域を指す。 この領域は，光波と電波の境界に位置しており，光波と電波のそれぞれの領域が重要な応用技術とともに発展し成熟してきたのとは対照的に，技術面でも応用面でも未開拓の分野として取り残されていた．しかしながら，この周波数帯の電磁波の特徴を活かしたイメージンクやトモグラフィーによる医学，環境計測，バイオ，各種検査などへの応用，さらに無線通信における周波数帯の有効利用や超高速通信への対応など，THz領域の研究は今後ますます重要になることが予想される．