回胴式遊技機の遊技中における興奮の定量化に関するー考察

摘要

ぱちんこ遊技は参加人口 1070 万人，市場規模約 23 兆 2290 億円（平成 27 年）の人気レジャー産業である．ぱちんこは法律上で遊技と定義されている一方，ギャンブル要素が高く遊技を原因としてギャンブル依存症に陥る可能性があることが社会問題となっている．ギャンブル依存は心理的興奮が発症のトリガとなると推察されているが，ぱちんこ遊技における興奮の程度を定量的に評価されたことはこれまでにない．そこで本研究ではその一環として，回胴式遊技機（いわゆるパチスロ）に着目して遊技中の心拍数の変化を測定することにより興奮の程度を検討した．成人 10 名を対象に模擬遊技施設での遊技中の心電位を常時計測した結果，全ての被験者は役物連続作動装置（いわゆるボーナス）の入賞後約 1 分間，他の通常の遊技期間と比べて有意に心拍数が上昇し（p＜0.05），その上昇率は平均で約 16% であった．一方，ボーナスの入賞が一度もなかった被験者は，遊技中すべての期間において有意な心拍の変動は見られなかった．以上より，回胴式遊技機の遊技者はボーナスを契機として興奮することが示唆された．