中国における水資源の需給現状およびその利用動向の分析（2）

摘要

中国は世界に13ある水不足の国の1つであり,全国の1人当たり水資源は2,200m~3で,世界平均水準の1/4である。 しかも限られた水資源の地域的,時間的分布がアンバランスで，北部は水が少なく，南部は水が多い。 増水期は降雨が集中しており，渇水期は雨が少なくからからに乾いている。 長江は中国最大の川で水資源が豊富であるが,その水の94％以上はそのまま海に流れ込んでいる。 長江以北にある河川の流域面積は全国土地面積の63.4％を占めているが，水資源の量は全国の19％しか占めておらず,広大な北部地区は長期にわたって水不足で乾き,とくに黄河·准海地区1人当たりの水資源の量は全国平均水準の22％しかなく，中国水資源の需給矛盾の鋭い地区である。 水資源不足は中国の今後の継続的発展，現在進行中の西部大開発計画に大きな脅威となっている。 水資源の需給バランスを保つためには，今後,南方地方に対して水質汚濁の防止,西北地方では乱開発の抑制,黄·准·海·遼流域では流域をまたぐ流域間調水。 西南地区では発電と洪水防止プロジェクトの建設等を総合的に考えなければならない。 水資源の需給管理,用水効率の向上，省区間断面の水量と水質総量規制の導入,投資を拡大し,水資源の保護,利水プロジェクトの建設と計画用水の強化,水資源価格の調整,節水対策，水資源利用の補償体制の確立，流域,行政区と都市部との間の水資源統一管理を行うことが必要不可欠である。 水環境の悪化が中国の水資源不足をさらに深刻にしてしまうおそれがある。 中国の環境問題と水資源政策の行方は，その潜在的汚染源の大きさからしても,アジアのみならず,さらに地球全体の環境に影響を及ぼさざるを得ない。 中国は発展途上諸国の一員として，環境問題解決のために，独自の環境政策の改嵐流域環境管理,水資源管理体制等の充実にいっそう努力することが望まれる。