手指の変形性関節症に対して外来診療で できること

摘要

内服としては,漢方薬やサプリメントであるエクオールも考慮する.手指の湿布はらせん状に貼付する.custom-madeの硬性スプリントを作成し，夜間のみ装着する.手指の関節は,膝,脊椎とともに一次性の変形性関節症(osteoarthritis : OA)の好発部位の一つであり.日常頻繁に遭遇する疾患である.しかし，手指のOAは"self limiting disease"といわれるように,発症初期には疼痛を伴うが経過とともに変形を残しつつも疼痛が軽減することが多い.この知識が先行 するためか，本疾患で受診する患者は,「加齢のせい」や「治療法はない」「つきあうしかない」などの.対応を受けることも少なくないしかし，痛みや変 形のため仕事や日常生活に支障をきたすこともまれ ではなく,欧州リウマチ学会(European League Against Rheumatism : EULAR) の recommendation でも手指のOAに対する薬物療法と非薬物療法を併 用した保存治療が薦められている.われわれは最終 手段として関節形成術などの手術治療を用いているが，最初から手術を希望する人はほとんどいない. そこで，現状の痛みや機能障害を改善させるのみならず,疾患の進行を少しで遅らせることを目的に外来診療をおこなっている.今回,診療する頻度が比 較的高い,母指CM関節症および,示指?小指のDIP関節変形性関節症(Heberden), PIP関節変形性関 節症(Bouchard)について,われわれがおこなっている外来診療を紹介する.明日からの外来診療に少 しでも役立てば幸いである.