日本病理学会分子病理専門医の認定と育成に関して

摘要

将来的なゲノム医療実現に向け,今から約20年前, 2003年にゲノム研究充実の視点からゲノム研究用血 清バンキングがオールジャパン体制で開始された.東 京大学医科学研究所にバイオバンク?ジャパン（Bio Bank Japan,以下BBJ）が設置され，2013年までの 約10年間で様々な疾病のゲノム研究用血清検体が約 300万バンキングされた.さらに2014年からはBBJ において，この血清バンクに続いてヒト検体からのゲ ノム研究用組織バンキングを開始する計画になってい た.当時既に研究機関や医療機関などで組織バンキン グが行われていたが，数施設をゲノム研究者らが確認 したところ,ゲノム研究用試料としての質が確保され ていないことが発覚し,組織バンキングの際の規程な どの策定が急務であるとの指摘がなされた.組織バン キング開始直前の2013年のことである.当時の文部 科学省研究振興局から「質の高いゲノム研究用組織バ ンキング」を行うための取扱い規程の策定と，その規 程に基づく研修会などを開催し,バンキングに関わる 関係者の教育が必要とされ,その役割を担うアカデミ アとして日本病理学会（当時理事長:深山正久氏）が 指名された.