Castleman病の歴史的背景と unicentric Castleman disease

摘要

Castleman病(CD)は稀なリンパ増殖性疾患で,一定の組織学的特徴を共有する複数の亜型から構成されるヘテロな疾患群である.CDは病因や臨床像,組織像により複数の亜型に分類されるが,まずは病変の分布によって単中心性(=限局性)と多中心性(=多発性)の2つに大別される.単中心性CD(unicentric Castleman disease : UCD)はその組織像からさらに硝子血管型 hyaline vascular type (HV type)と形質細胞型plasma cell type (PC type)とに分けることができる.CDが初めて報告されたのは1950年代のことで,Benjamin Castlemanらにより限局性の巨大縦隔腫瘤として報告された.これは現在の硝子血管型単中心性CD(HV-UCD)に相当する.その後,類似所見を呈する疾患群がCDの亜型として次々に報告されるようになり,約70年の歳月を経て現在の複雑な疾患概念を形成するに至った.本稿では,CDの歴史的背景を通して本疾患概念の形成を概観することで,本疾患に対する理解を深めたい.また，CDの原型ともいうべきUCDに焦点を当て,その臨床病理学的特徴について解説する.