迅速対応システム(Rapid Response System :RRS)の現状と課題

摘要

迅速対応システム(Rapid Response System : RRS)は急速に状態が悪化している入院患者に早期に介 入することで院内心停止や急変を防ぐことを目的とし,本邦では2008年の医療安全全国共同行動以降 導入が進んできた。RRSの4つの要素(起動要素,対応要素,システム改善要素,指揮運営要素)のな かでも起動基準はとくに発展が目覚ましい分野である。当初はシングルパラメーターによる起動基準が用 いられてきたが，複数パラメーターを重み付けして点数化した早期警告スコアが広まり,電子カルテ情報 を抽出して自動的に点数化したりRRS起動につなげたりする仕組みや,ディープラーニングを用いた早 期警告アルゴリズムも開発されている。今後は起動基準の電子化や自動検知が進み,従来の病棟スタッフ による起動から集中治療部門による監視，起動する方向へ進むだろう。そして,診療報酬の改定にて，急 性期一般入院料1における急性期充実体制加算が算定されたことで,RRS導入の共通の指標が必要となる。