エクソソー厶をターゲットとしたがんの早期発見と治療

摘要

エクソソームは,ほぼすべての細胞から分泌される100nm付近の脂質二重膜構造の小胞であり,マイクロベシクルやアポトーシス小体とともに細胞外小胞の一種と定義される.内部にDNA,RNA,タンパク質などの生理活性物質を含み,これらの内包物が細胞間で受け渡されることで,受け手細胞の表現型に影響を与え,さまざまな生命現象にかかわると同時に,疾患形成にもかかわる.特にがん領域で多くの報告がなされ,がんの進展におけるさまざまな局面でエクソソームが関与していることがわかってきた.さらに,近年は疾患バイオマーカー,ドラッグデリバリーシステムへの応用,エクソソームを標的とした治療法や,エクソソームを用いた治療法といった臨床応用が注目されている.そこで本稿では,はじめにエクソソームを概説し,次に臨床応用の可能性に関してリキッドバイオプシーとがん治療に着目して最新のエクソソーム研究の知見を交えて紹介する.