慢性腎臓病に対するSGLT2阻害薬

摘要

1920年代のィンスリンの発見，製剤化から100 年の間に糖尿病治療は著しい進歩を遂げた.昨 今の臨床現場では，さまざまな糖尿病治療薬が 使用され，高血圧や高脂質血症への治療介入も 普及することで，糖尿病患者全体の平均HbA1C， 血圧，脂質プロフアイルには改善がみられてい る.にもかかわらず，糖尿病によって生じる臓器 障害は，今でもなお患者の予後に大きく影響し， なかでも糖尿病性腎臓病は，腎代替療法が必要 となる末期腎不全の原因の第1位であり続けてい る.また，慢性腎臓病重症度指標である腎機能 低下と蛋白尿は，ともに心血管病合併のリスク因 子であることが明らかとなつており，糖尿病性腎 臓病を含めた慢性腎臓病(CKD)の克服は医療現場での最重要課題となっている.