SGLT2阻害薬-糖尿病性腎症に対するエビデンス

摘要

現在わが国では,経口?皮下いずれも投与可能 な GLP-1 (glucagon-like peptide-1)受容体作動 薬であるセマグルチド(リベルサス?,オゼン ピック?)を含めると,経口薬8クラス,皮下注射 薬2クラスの糖尿病治療薬が使用可能となった。 これらを実臨床でどのように選択するかに関して は,当然各薬剤の作用機序や高血糖改善効果が重 要であるが,低血糖などの副作用,体重に及ぼす 影響,合併症抑制効果,さらには薬価などを総合 的に考慮する必要がある。厳格な血糖管理が糖尿病性腎症の発症?進展予 防に有効であることは,すでに確立された事実と いえる。最近では,使用する糖尿病薬のクラスに よって腎症に対する効果に差があることが明らか にされており,SGLT2 (sodium-glucose cotransporter 2)阻害薬あるいはGLP-1受容体作動薬を 用いた心血管安全性試験(cardiovascular outcome trial : CVOT)において,これらが腎イベントの 発症率を有意に減少させることが示されてきた (図1)。加えてSGI/T2阻害薬のダパグリフロジン が,米国および欧州に続いて2021年8月25日に わが国でも,2型糖尿病合併の有無にかかわらず 慢性腎臓病(CKD)の治療薬として承認された。