q転移再発咽9I癌に対する ホウ素中性子捕捉療法

摘要

ホウ素中性子補足療法(boron neutron capture therapy : BNCT)は,ホウ素原子核の熱 中性子捕獲反応により生じたα線を利用する放 射線治療である。1972年,三嶋らにより,皮 膚悪性黒色腫に対するBNCTの基礎実験が開 始され，その後，1987-1994年の8年間に皮 膚悪性黒色腫20症例に対して,熱中性子およ びホウ素キャリアの一つであるp-boronophe-nylalanine (BPA)を用いたBNCTが実施さ れ，奏功率90%, 2年以上生存率78%の優れ た治療効果が示された。2001年から京都大学 原子炉実験所を中心に,熱中性子よりもややエ ネルギーが高く,進達度が良好な熱外中性子 (0.6?10keV)を利用したBNCTの頭頸部癌 への適応拡大が試みられてきた。 近年原子炉 に変わる中性子発生源としてBNCT専用加速器の開発が進み，本邦を筆頭に世界各国で病院 併設型BNCT用加速器の開発,導入が始まっ ている。