HBs抗原測定試薬「アテリカ用B型肝炎ウィルス表面抗原キットケミルミQHBs抗原」の性能評価

摘要

2019年,世界保健機関（World Health Orga-naization : WHO）はHBs抗原陽性のB型肝炎ウィルス（以下,HBV）持続感染者は，世界で推定約2億9,600万人存在し，新規感染者は年間約150万人に上ると報告している。現在臨床で使用されている主なHBV関連マーカーには，HBs抗原とHBs抗体，HBe抗原とHBe抗体,IgM-HBc 抗体,HBc抗体，HBV DNA などがある。従来定性法試薬を用いたHBs抗原 検査は，感染の有無を知るためのスクリーニング検査として用いられてきた。しかし，近年，HBs抗原量の高感度測定が可能になったことで HBs抗原定量検査は抗ウィルス治療法の効果判定やde novo B型肝炎の予測などに有用な検査法となった。さらに，B型肝炎治療ガイ ラインの中で,B型肝炎持続感染者に対する治療の最終目標は「肝炎の活動性と肝線維化進展の抑制による慢性肝不全の回避ならびに肝細胞癌発生の抑止，およびそれらによる生命予後ならびにQOLの改善」とされ，目標達成のために最も有用なsurrogate markerはHBs抗原であり，長期目標はHBs抗原の消失に設定された。このようにHBs抗原定量検査の臨床的意義は年々高まっており,その測定はより高感度であることが求められている。今回われわれは，シーメンスヘルスケア?ダィアグノスティクス株式会社の化学発光免疫測定法（以下，CLIA法）を測定原理とするAtellica IM免疫自動分析装置専用試薬「アテリカ用B型肝炎ウィルス表面抗原キットケミルミQHBs抗原」（以下，アテリカ）の基礎的検討を行ったので報告する。