シャンデリア照明と広角観察システムを併用した網膜復位術

摘要

網膜復位術（バックリング手術）は硝子体手術の劇的な進歩もあり，適応症例は減少しているが，今でも絶対的適 応の症例は存在し,網膜硝子体術者としては必ず習得すべき術式である.一方で，広角観察システムを中心とした手 術機器の進歩は，その術式選択に大きな変遷をもたらしつつある.本稿では，シャンデリア照明と広角観察システム を併用した方法について，その由来，詳細な実際の手技?ポイント，本術式を選択する利点?欠点，さらには今後の 展望などを自験および参考文献の内容をもとに概説する.網膜復位術（バックリング手術）には現在でも絶対的 適応があることは諭をまたないところであるが，時代や 眼科機器の進歩とともにその手法は変遷している. 2004年には顕微鏡のスリット照明と接触型コンタクト レンズ（Mini Quad or ClariVit, Volk Optical社）を使 用した広角観察システムによる網膜復位術が報告された.さらに術式は発展をみせ,シャンデリア照明と広 角観察システムを併用した方法は,文献を渉猟したとこ ろ2012年に最初の報告があり，現在では多くの施設で 実施されている.また，眼内シャンデリア照明はその機器の進歩ととも に，25ゲージ（G）から27Gシャンデリアとより低侵襲化し，閉鎖式トロカールの普及も相まって安全性も確 立されてきている.さらに近年では，3D heads-up surgeryシステムを活用した術式も出現し 飛躍的な発 展をとげつつある.本稿では，実際を手技,合併症，メリットとデメリッ 卜,成績，展望などを拙論を交えながら概説する.