多発性骨髄腫における 維持療法の理論的背景-Total therapyから考える維持療法-

摘要

多発性骨髄腫(multiple myeloma; MM)は， 現時点では根治が困難であり，目指すべきは長 期病勢コントロールによる全生存期間(overall survival; OS)の延長である.プロテアソーム 阻害薬ボルテゾミブがMMに使用されるように なった2000年初頭より，骨髄腫治療は新たなス テ一ジへ展開した.初回治療VMPは12か月限 定のレジメンであり，基本的にその後treatment-freeの期間となる. しかし，レナリドミドの登場 により，Rd療法がprogressive disease (PD)まで 継続する戦略が認められ，以後，VRd療法，ダラ ツムマブを用いたD-VMP， DRd療法と，基本的 には継続療法が主体となっているのが現状であ る.実際に，継続治療と固定期間治療を比較し たメタ解析では，継続治療において無増悪生存 率(progression-free survival; PFS)のみならす， OSのァドバンテージがあることも示されている.