多発性骨髄腫における維持療法の考え方

摘要

多発性骨髄腫(multiple myeloma ； MM)は完 治が困難な造血器腫瘍と認識されている.この 不良な予後を改善する目的で,寛解導入療法の のちに地固め療法と維持療法(maintenance therapy) が設定されるようになった.当初,維持療法 は「治療成績を改善させる可能性のある,病勢進 行まで継続する単剤による継続治療(continuous therapy)」と定義されたい.一方,最近では継続 治療と維持療法は分けて提唱されている2)が,維 持療法は広義の継続治療の一つと考えるべきで あろう.これによると,狭義の継続治療は「病勢 進行まで継続する2剤もしくは3剤療法」である のに対して，維持療法は「強い初回治療とは異 なる，典型的には移植後行う単剤もしくは2剤療 法」と定義される.また,初発未治療多発性骨髄 腫(newly diagnosed MM ； NDMM)に対する継 続治療?維持療法は,①非移植適応症例に対す る初回継続治療(continuous frontline therapy), ②移植後の維持療法,そして③非移植症例に 対する維持療法の3つに分類される.最近の再 発難治多発性骨髄腫(relapsed and refractoryMM ； RRMM)へのサルベージ療法もほとんどが 継続治療として設定されているので,現在のMM の治療はどの治療時期であっても広義の継続治 療が主体となる.①は,古くはRd [lenalidomide (LEN) + dexamethasone ①EX)〕療法,最近で はdaratumumab(DARA)を含むレジメンに代表 される.