肝疾患が心不全に及ぼす影響と病態はどのようなものですか？

摘要

心不全に続発する肝機能障害として，「うつ血性肝障害」と「虚血性肝障害」の2つの病態がある. 非アルコール性脂肪性肝疾患などの肝疾患による肝障害は，心筋リモデリングや心機能障害と関連し，心不全の予後にも関連する. 血液検査による肝胆道系酵素や肝線維化指標，また超音波エラス卜グラフィは，心不全の重症度やうつ血の状態を反映し，心不全のリスク層別化に有用な可能性がある.近年，心不全において，心臓とさまざまな多臓器 との「関連」が注目されているが，肝臓も例外では ない.心不全はしばしば肝機能障害を合併し，また 肝機能障害自体も逆に心筋障害を来すことがわかつ てきている.心不全に続発する肝機能障害として は，大きく 「うつ血性肝障害」と「虚血性肝障害」 に分けられる.うつ血性肝障害は，右心不全の結果 として肝臓内で静脈のうつ血が生じることによる肝 障害である.