メッシュ感染した腹壁瘢痕ヘルニア症例に対する内視鏡下Component separation法

摘要

汚染環境下での腹壁瘢痕ヘル二ァ修復術の術式 選択には制限があり，特に大きなヘルニアでは，その治療に難渋することがある.Components separation method (以下，CSM)は1990年に Ramirezらによって報告された，人工物を用い ず大きな腹壁欠損を閉鎖できる有用な術式であ る.しかし，CSMでは広範な皮下脂肪層の剥離 が必要となり，腹壁動脈の穿通枝が切離されるこ とによるskin flapの壊死や，創感染が比較的高 率に発生する.この問題点を解消しうる方策とし て，1999年にMaasら2)はEndoscopic CSM (以下，ECSM)を報告した.以後も欧米ではその有 用性に関する報告が散見されるが，これまでに本邦での報告はない.