多細胞生物としての糸状菌の生存戦略: 隔壁孔を介した細胞問連絡の制御機構

摘要

糸状菌の菌糸は、多数の細長い細胞が連なる“多細胞”の形態で生長する。隣接する細胞は隔壁で仕切 られているが、隔壁孔と呼ばれる小さな穴を介して連絡をしている。隔壁孔は、糸状菌の多細胞生物 としての生育に重要な役割を有していると考えられる。本稿では、糸状菌に特異的なオルガネラであ るWoronin bodyやストレスに応答して隔壁孔に蓄積するタンパク質を中心に、隔壁孔を介した細胞 間連絡の制御機構について解説する。