リグニンを炭素源としたムコン酸のバイォ生産

摘要

芳香族化合物の代謝中間体の1つであるcis, cis-ム コン酸(ccMA、図1)は、合成繊維、プラスチック、樹脂、 潤滑剤など2兆円/年以上の市場がある様々な化成品 の合成原料として利用可能な基幹化合物である。そ のため、可食または非可食バイオマス由来の糖質を原 料としたバイオ生産技術の開発が進められてきた。しかし糖質は様々なバイ才生産に必須の炭素源として 用いられており、また低炭素社会の実現に向けたバイ オ法による化成品原料生産の推進やセルロースナノ ファイバーなどの新規材料開発によって糖質の需要は より一層高まり、たとえ非可食バイオマス由来といえ ども需要競合の発生が予想される。そこで筆者らは、 糖質への依存度を低減したバイオ生産技術の創出に向 けて、非可食バイ才マスから糖質を調製する過程で大 量に副生しながらも利用方法が十分に確立されていな いリグニンを原料としたccMA生産に取り組んでいる。