ArFレーザー照射によるシリコーンゴム表面上での微細隆起構造形成とそのパルス繰り返し周波数依存性

摘要

シリコーンは化学的安定性，透明性，高絶縁性，生体適合性などの優れた特性を持ち，さらに主鎖であるシロキサン結合の数を制御することで液体から樹脂まで硬度を制御可能である．このような特性を持つことから，シリコーンは潤滑油，生体材料，絶縁材料，樹脂など幅広い分野において利用されている．近年では，さらに上記の優れたバルクの特性に加え，レーザー照射やプラズマを用いた表面酸化による化学的な表面改質，モールディングやレーザーアブレーション等を用いた表面微細構造形成により濡れ性や光学的特性の制御し，マイクロ流路や反射防止膜材料への応用研究も報告されている．本研究室では近年，直径2.5μmのSiO_2微小球を単層整列したシリコーンゴムに対し，ArFレーザー（193 nm）を照射することで，その表面に周期的にマイクロメートルサイズの微細隆起構造を形成できる事，さらにその表面が超撥水性を持つことを発見した．さらに現在，レーザー照射の工程におけるスループットやエネルギー効率の最適化の観点から重要な，①パルス繰り返し周波数②シングルパルスエネルギーに対する加工形状の依存性について，系統的な調査を行っている．発表では，単層整列したSiO_2微小球と周期的隆起構造の高さに着目し，パルス繰り返し周波数とシングルパルスエネルギーの変化が隆起構造の成長に及ぼす影響について報告する．