分子標的薬の有害事象とその管理

摘要

分子標的薬は，主に細胞外ドメインを標的とする高分子化 合物（モノクロ一ナル抗体）と細胞内シグナル伝達経路上のチ 口シンキナーゼを標的とする小分子化合物（キナーゼ阻害薬） に分類され，がん特異的に発現したタンパク質や細胞増殖に力'かわる特異的なシグナル分子を標的としてKM瘍効果を発 揮する。これらの作用機序から当初,従来の、胞性抗がん薬 よりも高い腫瘍選択性が期待され,有害事象の発現率は軽微 であると予測されていた。しかし，薬剤が標的とする分子は正 常細胞の分化誘導にも関連しており，実際には従来の抗がん 薬とは異なる特徴的なプロフアイルをもつ有害事象が認めら れた。したがって，分子標的薬を使用するにあたって，特徴的 な有害事象のマネジメントにも精通する必要がある。