猫のぶどう膜メラノーマ

摘要

猫の眼内腫瘍は，一般に中-高齢の猫に多く発生し，平均年齢および中央値はそれぞれ10.6歳齢および11歳齢である4)。 膜よりも前部ぶどう膜に多く発生し，約8割がメラノサイ ト系腫瘍とされる"。あきらかな品種や性別の偏りはない5一8)。ほとんどの猫の眼内腫瘍は局所浸潤性で転移の可能性があ るため，早期発見と適切な時期での外科介入が重要となる。FDIMは猫の前部ぶどう膜メラノ一 マのもっとも一般的な 形態と考えられている。通常9歳齢以上の猫で発症するが，病 理組織学的診断時の年齢は2.8-23歳齢と幅がある2)。FDIMは平らな茶色の斑点のように見える，虹彩の色素沈 着の局所的または多局所的な領域として始まる。この初期の 良性の段階は，色素が虹彩の表面に限局している場合には虹 彩メラノ一シス（虹彩黒色症）と呼ばれる（図1a)。