大細胞性リンパ腫

摘要

リンパ球はその成熟段階，分化の程度によってさまざまな形態を示す1)。細胞診では便宜上,小、中、大の3つの大きさ に分類し細胞学的評価を行う。この分類には，赤血球や好中球 の大きさを"ものさし''としてリンパ球の核や細胞直径と比較 することが主流となっている2'3)(図1,2)。リンパ腫の細胞 診は，①大きさの評価―②核の評価―③核小体の評価― ④細胞質の評価―⑤有糸核分裂像の評価-(6)グレード分 類，といった評価手順で行う4)。リンパ腫の分類にはWHO分 類，新キール分類が用いられている5)。獣医学領域で用いられ てきた新キール分類はWHO分類に包括されており，ある程 度あ相互性がある。し力'し，新キール分類におけるグレード分 類(High/Low)が必ずしも臨床低挙動と一致しないリンパ腫 も存在することから，リンパ腫を細胞診のみで診断、治療方 針を決定するのではなく ，リンパ球クローナリティー解析 (PARR),組織生検による病理組織検査〔HE染色による腫瘍 細胞の増殖パターンゃ細胞形態の評価および免疫組織化学 (免疫染色）による評価〕等を併せた総合的な評価が推奨され る。なお，リンパ節に発生する（節性の）リンパ腫の評価基準 を，消化器などのリンパ節以外に発生する（節外性の）リンパ腫にそのまま適用するか否かにかんしては議論があることか ら，グレード分類の表現に関しては診断医によって意見がわ かれている。