腸腺癌

摘要

腸の上皮系細胞が増殖する病変には過形成，ポリ一プ,腺 腫,腺癌が挙げられる。これらのうち，良性の病変である過形 成，ポリープ,腺腫，さらに上皮内癌に関しては，現時点ではそ の診断基準や名称があt 、まいであり，病理医によつて診断が 異なる可能性がある。基本的に，消化管の良性病変である過形 成，ポリープ,腺腫や悪性度の低い上皮内癌は，粘膜内に位置 し，ポリープ状に内腔へ突出する形状をもつ場合が多く，とく に犬の直腸でよく見られる。内腔に突出するタイプの腺癌も 存在するが,診断には腫瘍細胞による粘膜下への浸潤を確認 することが必須である。そのため粘膜より深部の組織を含む， 消化管全層生検や]除生検などの病理組織学的検査でしか 診断ができない（つまり，内視鏡生検では診断ができない）。そ のため細胞診においても，内腔に突出するポリ一プ状病変か ら得たサンプルでは良性と悪性(腺癌）の判別はできないと思っておいたほうがよ!、、。細胞診の所見は参考程度にとどめ， 腫瘍を疑う場合はすぐに病理組織学的検査を行ったほうがよい。